駅前の甘い記憶から「一皿3000円の芸術」へ——2026年、なぜ日本人は再びベルギー ワッフルに熱狂しているのか

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駅前の甘い記憶から「一皿3000円の芸術」へ——2026年、なぜ日本人は再びベルギー ワッフルに熱狂しているのか
駅前の甘い記憶から「一皿3000円の芸術」へ——2026年、なぜ日本人は再びベルギー ワッフルに熱狂しているのか
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🎵 駅前の甘い記憶から「一皿3000円の芸術」へ——2026年、なぜ日本人は再びベルギー ワッフルに熱狂しているのか

ベルギー ワッフルが、再び東京や京都の街角を激しく揺さぶっている。駅の改札を出た瞬間に鼻腔をくすぐる、あの焦げた砂糖と芳醇なバターの甘美な香り。1990年代後半、日本中を覆い尽くした一大ブームを覚えている世代なら、「いまさらワッフル?」と訝しむかもしれない。だが、2026年の今起きている現象は、あの頃のノスタルジーの単なる焼き直しではない。かつて手のひらサイズの「食べ歩きスナック」として消費された焼き菓子が、気鋭のパティシエたちの手によって、ガストロノミーの最前線へと押し上げられているのだ。

週末の表参道や蔵前の裏路地を歩けば、カフェの前に吸い寄せられる人々の群れが目に入る。彼らの目当ては、紙包みに入った冷めたテイクアウトではない。重厚な鉄板で注文ごとに焼き上げられ、立ち上る湯気とともにナイフとフォークでいただく皿盛りの逸品だ。長らく均一なチェーンの味として定着していたベルギー ワッフルのパブリックイメージは、ここ数年で劇的な変貌を遂げた。手軽なワンコインのおやつから、わざわざ足を運んで楽しむ「時間と体験の贅沢」へ。その変化の裏には、成熟しきった日本のカフェカルチャーと、本物の味を再発見しようとする職人たちの静かな執念があった。

90年代の狂乱から30年、なぜ今ふたたび街角を甘い匂いが支配しているのか

1997年のあの熱狂を覚えているだろうか。新宿や渋谷の駅前に出現した専門店には連日数百人の行列ができ、誰もが白い紙袋を握りしめていた。冷めてもサクサクとした食感、噛むとジャリッと砕けるパールシュガー。それは平成の街頭カルチャーそのものだった。しかし、ブームはやがて沈静化し、ワッフルは駅構内の定番土産やコンビニのチルドスイーツコーナーへと姿を消していった。

それがなぜ、2026年のいま爆発的な再燃を見せているのか。最大の引き金となったのは、Z世代を中心とする「クラフト回帰」だ。大量生産された均質なお菓子に飽き足らない若い層が、目の前で生地が膨らみ、バターがジュワッと音を立てるライブ感に熱狂している。スマートフォン越しに広がるのは、完成された菓子ではなく「焼かれる瞬間」の臨場感。30年前のブームを知らない世代にとって、それはレトロどころか、最も先鋭的でシズル感に満ちた新しい体験として映っている。

「リエージュ」と「ブリュッセル」の決定的な溝——私たちが食べていたのはどちらだったのか

そもそも、日本人が長年親しんできたワッフルは、ベルギーの豊穣な菓子の歴史の「半分」にすぎない。

私たちが「ワッフル」と聞いて思い浮かべる、丸くて生地がみっちり詰まったタイプは、ベルギー東部の都市の名を冠した「リエージュ風」だ。パン生地に近い発酵生地にパールシュガーを練り込み、キャラメリゼさせながら焼き上げる。これに対して、いま美食家たちの熱い視線を集めているのが、首都の名を持つ「ブリュッセル風」である。

見た目からしてまるで違う。大判の長方形、深い溝、そして驚くほどの軽さ。卵白をしっかりと泡立てて作る水気の多い生地を高温のワッフルアイロンで一気に焼き上げるため、外側はガラス細工のように儚くパリッとしており、中は空気を含んでフワリと消える。甘さは極めて控えめ。本場ベルギーでは粉糖を振るか、ホイップクリームやフレッシュなイチゴを添えてカフェのテーブルで食べるのが礼儀だ。これまで日本では焼き型の手入れや生地の扱いの難しさから敬遠されがちだったブリュッセル風が、2026年、腕利きの職人たちによって次々と解き放たれている。

発酵24時間の狂気、パティシエたちが原点回帰する「粉と酵母」の最前線

「たかがワッフルと侮る料理人は、もうここには一人もいませんよ」

都内のベーカリーカフェで生地を仕込むシェフは、そう言って笑った。かつてミックス粉と人工香料で手軽に作られていた時代は完全に過去のものとなった。現在のクラフトワッフルシーンを牽引しているのは、サワードウや自家製酵母を駆使するパン職人たちだ。

低温で18時間から24時間かけてじっくりと発酵させた生地は、小麦の力強い旨味と微かな酸味をまとう。使用するバターも、北海道の発酵バターやフランス産AOPバターを惜しげもなく折り込む。高温の鉄板に挟まれた瞬間、メイラード反応によって放たれる香りの密度がまるで違う。リエージュ風の命であるパールシュガーにしても、熱で溶けきらず中心に絶妙な結晶を残すベルギー直輸入の最高級品を指定する店が増えた。「粉、水、バター、酵母」。極限まで削ぎ落とされたシンプルな素材だからこそ、職人の技量が残酷なほど露わになるのだ。

シロップを捨てた大人たち:セイボリー(食事系)への過激なシフト

甘いスイーツとしての枠組みすら、すでに過去のものになりつつある。現在、都市部のブランチシーンを席巻しているのは「甘くない」ワッフル、すなわちセイボリー(食事系)の躍進だ。

皿の上に鎮座するのは、カリカリに焼かれたブリュッセル生地。その上に乗るのはメープルシロップではなく、ポーチドエッグと濃厚なオランデーズソース、ハーブを効かせた自家製サーモンマリネ、あるいはブッラータチーズと季節のロースト野菜だ。ブリュッセルワッフルの軽快でクリスピーな食感は、ソースを受け止める土台として、トーストやイングリッシュマフィンよりもはるかに優秀だとシェフたちは証言する。

夜のビストロに顔を出す店も出てきた。熟成生ハムや塩気の効いたブルーチーズ、さらにはトリュフ香る鴨のコンフィと合わせ、自然派ワインとともに楽しむ。夜遅くにワッフルとナチュラルワインで乾杯する光景は、数年前には想像すらできなかった大人の日常になりつつある。

原材料危機とクラフト化——本場ベルギーの職人が東京に見出す勝機

華やかなトレンドの裏で、業界は厳しい現実に直面している。世界的な乳脂肪価格の乱高下とカカオショック、そして円安。油脂と砂糖を大量に使うワッフルにとって、原材料の高騰は直撃弾となった。1個数百円で手軽に買えた時代は終わり、原価率は限界に達している。

しかし、この逆風が皮肉にも「二極化」を後押しした。安価な代替品を使って価格を据え置くチェーンと、徹底的にクオリティを極めてプレミアムな価値を提示する専門店。いま支持を集めているのは間違いなく後者だ。

ベルギー本国で修行を積んだ職人や、現地から日本市場に参入するマスターベーカーたちは、日本の消費者の「舌の解像度の高さ」に驚きを隠さない。本場の伝統的な製法を忠実に守り、一切の妥協を排したワッフルなら、1皿2000円、3000円という価格設定であってもファンは納得して対価を支払う。単なるファストフードから、スペシャリティコーヒーと同じ文脈で語られるクラフトへと昇華したことで、ワッフルは持続可能なビジネスモデルとしての強靭さを手に入れた。

可処分時間をめぐるカルチャー戦争:なぜ「待つこと」が贅沢になったのか

あらゆるものがデジタル化され、即座に手に入る2026年の生活において、ワッフルを待つ時間は奇妙なほど贅沢に感じられる。

生地を鉄板に流し込み、蓋を閉め、タイマーが鳴るのを待つ。熱でジューッと水分が蒸発する音を聞きながら、漂ってくるバターの香りで空腹を刺激される数分間。テイクアウトの保温ケースから即座に手渡されるファストな体験とは対極にある、フィジカルでスローな時間だ。

手軽さを売りに日本へ上陸した異国の焼き菓子は、30年の歳月を経て、慌ただしい都市生活者たちに「立ち止まる理由」を与える存在になった。焼きたての一角にナイフを入れ、湯気とともに立ち上る香りを吸い込む。その一口のために、私たちは今週末もまた、あの甘い煙が立ち込める路地へと足を向けてしまうのだ。 (出典: ベルギー ワッフル(Yahoo!ニュース)

ベルギー ワッフル
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